このコースは、「歴史学は知的な冒険だ!」とうたい、「歴史を暗記から解き放とう!」を目標に、哲学の成果を援用しながら、中世日本での自由と平等のありようをさぐる。中等教育において、日本史という教科は人気がない。子どもたちに尋ねると、暗記をしなくてはならないから、学ぶ喜びよりも苦痛が先に立つという。これではいけない。日本史は一つの答えが確固として定まっている「静的な」学問では決してなく、知性をもってすれば従来と異なる解釈を数多く産出できる、「動的な」科学なのである。この講座では、「天下統一を目指す戦国大名たちは、競って上洛をこころみた。その中で地理的条件にも恵まれた織田信長が、天皇や将軍の権威をかりて、天下に号令した」というような通俗的・小説的な理解に対し、様々に異論を示していく。そして「自由と平等」をテーマに設定し、細かな暗記には拘泥せずに、知的な冒険である歴史の楽しみ方を、ともに習得したいと願っている。